【調べてみた】誰が犬猫を捨てているのか。

あなたは日本で毎年何匹の犬猫が殺処分されているかご存知ですか?

環境省が公表した最新の統計データによると、2015年に殺処分された犬猫は約8.3万頭。1日あたりに換算すると227頭の犬猫が殺処分されています。

この「かわいそう」では救えない。シリーズでは3回に分けて環境省が公表している統計データを元に殺処分の実態を把握し、解決していくためには何ができるかをお伝えしていきます。

殺処分に至るまでの過程をざっくりまとめると、

STEP1. 自治体にて引き取り
STEP2. 一定期間施設に収容
STEP3. 飼い主へ「返還」
STEP4. 新しい飼い主へ「譲渡」
STEP5. 収容期限を過ぎた場合「殺処分」

という流れです。

今回はSTEP1の『引き取り』の実態について調べてみました。『引き取り』とは飼い主からの引き取り迷子になった・又は遺棄された犬猫の収容を指します。

1年間で何頭引き取られているの?

2015年に引き取られていた犬猫数を絵にしてみました。アイコン1つでそれぞれ1,000頭です。


1年間で犬は4.6万頭、猫は9万頭引き取られています。1日あたり375頭が日本のどこかで引き取られている計算になります。また猫が圧倒的に多いこともポイントです。

犬猫合計で約13.7万頭が引き取られている。
圧倒的に猫の数が多い。

誰から引き取っているの?

次に誰から引き取っているのかをグラフにしました。吹き出しの数字は引き取り数の実数です。


犬猫ともに飼い主が持ち込んだ割合は約15%。持ち込む飼い主に対して思うこともありますが、今回注目していただきたいのは飼い主がわからない犬猫が85%いるということです。迷子や野良猫で収容された子もここに含まれてますが、それだけではこの数にはなりません。個人の飼い主による遺棄だけではなく、ブリーダーやペットショップなどの業者による遺棄も存在しています。詳しくはSippoさんが取りまとめていらっしゃるのでご参考ください。

明らかに業者が遺棄したものとわかる犬が29自治体で実に1105匹にのぼった。業者が一般の飼い主のふりをして、小分けにして自治体に持ち込めば区別がつかないから、この数字は氷山の一角にすぎない。
出典元:Sippo 『犬の大量遺棄事件が相次ぐわけ』(2015年5月19日)より抜粋

引き取られた約85%が飼い主不明。
生体繁殖・販売業者による遺棄も存在する。

引き取られる犬猫の年齢は?

正確な年齢はわかりませんが、成熟か幼齢かについては公開されています。グラフの真ん中の割合は幼齢(子犬や子猫)の数値です。


こちらは犬と猫で大きく違いがあります。
犬は成犬が圧倒的に多く、猫は子猫の方が圧倒的に多いという結果でした。
犬の場合は大きくなって世話が大変になった、老犬介護が困難、単純にかわいくなくなった、業者の場合は大きくなって売れにくくなったなどが要因と推測されます。
猫の場合は野良猫の繁殖が大きな要因と考えられます。猫の繁殖能力は人間や犬とは比較にならないくらい強く、1匹のメス猫から2年で80匹まで増えることが可能です。

猫は生まれた翌年には確実に繁殖できる体に成長(性成熟)し、年に何回も出産できるなど、繁殖効率がとても高い動物です。計算上は、1頭のメス猫が1年で20頭、2年で80頭以上に殖えることが可能です。猫は本能に従って妊娠・出産するだけで、自分で繁殖をコントロールすることはできません。
出典元:「ふやさないのも愛」(環境省)より抜粋

犬の82%が成犬、猫の72%が子猫の状態で引き取られる。犬は大きくなってから飼育・販売困難で捨てられ、 猫は野良猫の繁殖が多いため子猫の引き取りが増加すると推測される。

引き取りに関するまとめ

ポイントを整理すると、

1. 犬猫合計で年間約13.6万頭が引き取られている
2. 猫の引き取りが圧倒的に多く、犬の倍近くある
3. 犬も猫も飼い主不明の引き取りが85%も存在する
4. 飼い主だけではなく業者による遺棄も存在する
5. 犬の8割以上が成犬。飼育・販売困難で捨てられていると考えられる
6. 猫の7割が子猫で野良猫の繁殖が原因と考えられる

ということがデータからわかりました。
引き取りの実態について少しはイメージが明確になったでしょうか。対策を早速考えたくなりますが、次回は引き取られた後犬猫がどうなっていくのかをお伝えします。


参考データ:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」(平成27年度)


 

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