2016年10月17日、栃木の「引き取り屋」と呼ばれる業者が動物愛護法違反容疑で書類送検されました。しかし不起訴との判決が下り、判決内容を不当と考え動物愛護法の適正な運用と起訴を申し入れる動きが活発になっています。
「引き取り屋」とは
そもそも「引き取り屋」ってなに?
「引き取り屋」は繁殖業者やペットショップから売れ残ったり不要となった犬を有料で引き取るという商売を生業にしている業者です。
何故そのようなビジネスが存在するのか。それは繁殖業者やペットショップには売れ残ったり、繁殖に使えなくなった犬猫が存在するからです。売り物にならない以上コストになる事は明白です。そこで「引き取り屋」が登場してくる、という構造です。
さらに2013年9月に施工された改正動物愛護法で自治体は業者からの引き取りを拒否できるようになったため、合法に捨てる事ができなくなり「引き取り屋」のニーズは高まったと言われています。
引き取られた子に待ち受ける運命とは
「引き取り屋」に引き取られた子はどうなるのでしょうか。ちゃんとした施設で終生飼養されているなら大きな問題にはならないはず。しかしコストでしかない存在にちゃんとした施設が用意されることはまずありません。
今回の栃木の引き取り業者の飼育施設の様子を撮影した写真です。
(撮影:日本動物福祉協会)
文字通り「飼い殺し」をしている事がわかります。そして栃木の事案はこの状況を動物愛護法44条2項に違反していると告発したのです。
2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処する。
ー動物の愛護及び管理に関する法律ー
どう見ても「健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させる」状態です。しかし不起訴の判決が下りました。その理由は「被告発人の施設で健康状態が悪くなったのか、被告発人に引き渡された時点で罹患していたのかを立証することが困難であり嫌疑不十分」とのことです。
起訴できないとどうなるのか
不起訴と認められた場合、当然当該業者が不起訴となり何も罪に問えないことになります。しかしそれだけではありません。もっと脅威なのは「これくらいの状態では動物愛護法違反にならない」という事例になることです。
現在この判決を不当であるとし、起訴を求めるWeb署名が集められています。
より詳細は飛び先に記載されています。
ご一読いただき署名すべきかご判断ください。
写真撮影・提供:公益社団法人日本動物福祉協会