杉本彩氏ら有識者が提言。動物愛護法が抱える問題点とは

9月19日(火)、杉本彩氏が理事長を務める公益財団法人動物環境・福祉協会Eva主催の「改正動物愛護管理法を考えるシンポジウム」が開催された。

シンポジウムは2部構成となっており第1部では主催者の杉本彩Eva理事長をはじめ、ペット流通問題を追いかけ続けている朝日新聞社の太田匡彦記者など、6名の有識者による改正すべきポイントのプレゼンテーションが行われた。
第2部では「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」の役員である松野頼久議員、福島みずほ議員らが加わり、改正ポイントについてパネルディスカッション形式で意見が交わされた。

改正すべき主要なポイントとして挙げられていた点は以下の通り。

8週齢規制の正式導入化

8週齢規制とは

犬や猫は子供の頃に親や兄弟と過ごすことで社会性を身につけることができ、その適齢期が生後8週間程度という実証研究結果がある。
それ以前に親元から引き離された子は大人になってから問題行動を起こす確率が上がるため、8週齢までは引き離してはならないという規制である。欧米の多くの国がこの8週齢規制を適用している。

議論のポイント

日本の動物愛護法でも既に8週齢規制は明文化されている。しかし附則という形で【別に法律で定める日までの間は、「五十六日」とあるのは、「四十九日」と読み替える】と記載されており、実質49日となってしまっている。
この読み替えをなくして8週齢規制の正式導入化を目指す意見と、引き離す最適な時期が生後何日なのかを科学的に実証してから導入すべきという反対の意見が挙がっている。

悪質な業者を取り締まるためにも8週齢規制の正式導入、許可制への規制強化を掲げる松野頼久議員

動物取扱業への規制強化

登録制から許可制・免許制へ

現在動物取扱業は登録制となっており、以前の届出制よりは厳格化された。しかし業者への立ち入りは任意であり、業者の実態を自治体が把握できているとは言えず、登録取消処分の基準も非常に甘く実効性がないものとなっている。
より厳しい許可制や免許制へと規制強化を行うか、登録制のままとしても業者への立ち入りの義務化や登録取消処分を厳格化により実効性を高めることが求められている。

数値基準の策定

飼養施設や繁殖回数、飼養頭数制限など具体的な数値基準が定まっておらず、不適切と見受けられる業者に対し自治体としても指導が難しくなっている。指導・監督が適切に行われるためにも明確な数値基準を設けることが求められている。

取扱業者の対象拡大

移動販売業者の飼育管理状況や流通過程での死亡数の多さから、動物を運送する業者についても動物取扱業者の登録を義務付けるべきと提言されている。

動物虐待に対する罰則の強化

現在動物虐待の罪は懲役2年以下となっているが、刑の長さだけで比較すると器物損壊罪の3年以下よりも軽微となっている。
しかも2016年に動物愛護法違反で起訴された事件数は33件だが、うち29件は略式起訴(罰金刑)となっており懲役刑になることが非常に少ない。
動物虐待事件が多発している中、罰則の強化が求められている。

同時に虐待が発生した際に早急に発見、対処ができるためにもアニマルポリスと呼ばれる動物虐待や飼育放棄を取り締まる法的な機関の設置も提案されている。

動物虐待の実態と罰則の強化の必要性を訴え、法改正への思いを語る杉本彩Eva理事長

上記以外にもマイクロチップの義務化や飼い主に対する法規制の強化など様々な視点での意見が挙げられていた。

法改正の予定は2018年。
議論を重ねられる時間は多くない。
改正案をまとめていく時期がきている。

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